住宅購入コンサルFPのホンネ③ ~住宅ローンの相談では「そもそも論」もはっきり言えないとダメ!~
FPユニバーシティ 執筆講座担当の ひまわり法務FP事務所®代表の 竹原庸起子 です。
前回より、いつものお堅い執筆に関する記事ではなく、住宅購入コンサルティングFPとしてのホンネをシリーズでお伝えしています。なるほど!と気楽な気持ちでお読みください。
有料で住宅ローン相談を受けるFPが準備しておくべきことが3点あると述べましたね。その2点目について、わたしの経験談からお伝えますね。
私の講演を聞いたひとからの口コミで、当方に相談に来られた20代後半の若いご夫婦。
前回の記事でお伝えしましたポイントを、このご夫婦からの相談内容にあてはめてみますね。
このご夫婦は、両親の所有する土地の上に自分たちの家を建てることになり、両親から
資金の贈与を受けて、残金は自分たちが住宅ローンを組んで返済することに。その住宅ローンの審査がなかなか通らないことと、通るのであればどんな金利でもいいから借り入れしたい、その後の返済はなんとでもなるからとのことでメールで相談予約がありました。後日私のもとへ来てもらい、詳しく聞いてみると内容はこうでした。
両親との二世帯住宅を建てる注文住宅と諸費用の総額のうち、住宅ローンで準備しなければならない金額は6000万円、年収は300万円で、審査がとおらないので高金利のものでもいいし、返済期間が50年になってもいいから、とにかく住宅ローンを探してほしい。
住宅ローンを組む夫の年収が上がるかどうかわからない、専業主婦の妻は働きに出るつもりもない、しかし夫が万一の時には保証が欲しいところ夫は大病を患ったことがある。この契約は白紙にはできない。両親からなんとかローンを探してくるよう言われている。両親の顔をたてるため住宅ローンを組んででも家を建てなければならない。
まずこの話を聞いて、私は相談者ご夫婦に
「住宅ローンは借金なんだということと、その金利などの仕組みがわかっているのか」
「住宅ローンを組む人が、その借金をいつまでに返し終わらなければならないのかは、人によって違うが、50年の住宅ローンを返すとライフプランにどう影響がでるのか」
「住宅ローンを組む人の家族にとって、不安なのは保証のはずだが、団体信用生命保険は普通のものには入れない可能性が高いこと」
「住宅ローンを借りる金融機関はどこでもいいとのことだが、高金利でしか借りられないことを良しとするのか、借入額が無謀であることに気付いているのか」
「そもそも住宅ローンを組んでまで家を買わないといけないの?」ということ。
これらを相談者ご夫婦に伝えました。前回のブログで伝えたポイントを質問形式にして相談者からの聞き取りにあてはめたら、おのずとFPとしての回答が出ます。私からこの相談者への回答は「住宅ローンは借金であり返済義務があるところ、両親の体裁のために借り入れしなければならないという契約自体を見直してください。そもそもこんな豪華な住宅を建てる必要があるのか」ということです。
ご夫婦はなんとか借り入れしたいという思いのみで突っ走ってきたことを後悔しながらも、両親へどう説明したらいいのかを考えるしかありません。
次回は連載最終回です。1回目でお伝えしました、住宅購入コンサルティングFPに必要な知識である3点目のポイントについてお伝えしますね。