テナントからの賃料減額の要望

相続・不動産担当のエフピーコンパスの平井です。

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、テナントの賃料減額についての相談や問い合わせが、いくつか入ってきています。オーナーの立場、テナントの立場、それぞれ事情がありますので、どれが一番良い選択なのかはそれぞれの状況によって異なりますが、ファイナンシャル・プランナーとしてお客様から相談を受けた時には、双方にとって良い方向で合意を得ることができるアドバイス、そのための実務支援を行う事が大切です。
今回は、オーナーの立場での対応方法を簡単に整理してみました。テナントからの賃料減額の要望があった場合に考えられるのは、

① 家賃の減額に応じない
テナントからの話は聞くが、現状のままの家賃で減額に応じない
② 返済を猶予する
返済を猶予して、その後の毎月の賃料に上乗せして返済をしてもらう
③ 期間を決めてその期間の賃料減額に応じる
例えば数か月か半年間程度、賃料を○○%下げ、一定の期間後から元の賃料に戻す
④ 賃料減額の要望に応じる
賃料の減額に応じる(賃料の金額については、貸主・借主の合意)
⑤ 減額した賃料を敷金・保証金の額から充当する
賃料の未払い金額をテナント退去時に、敷金・保証金の額から充当させる
⑥ ②⑤や③⑤の組み合わせ等
賃料の返済猶予、減額に応じるが、敷金・保証金の額を合意の上変更する。

等が考えられますが、それぞれ、メリット・デメリットがあります。

ファイナンシャル・プランナーとして賃料減額要望についての相談の際に確認しておくべき要点は
・契約書の内容の有無の確認
・賃料や支払方法の確認
・賃料の更改についての確認
・解約や敷金・保証金の返金(敷き引き)の金額の確認
・契約からの経過年数
・これまでの家賃の支払い状況(振込の遅れや、滞納等があったのか)
・物件の借入金等の有無
・固定資産税等の確認
・周辺の賃料相場との比較
・借主の経営状況(新型コロナウイルス感染症がおさまった時に事業が元に戻るのか)
等を確認しておいて、アドバイスを行うことが大切です。

今回のご相談の一つは、以前の相続手続きをさせていただいたオーナーの所有する倉庫のテナントから、新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが減っているので、倉庫のテナント賃料の減額をお願いしたいという連絡でした。

新型コロナウイルス感染症の時期でもありましたが、実際にお会いしてお話を聞くことが大切ということで、お約束をして、テナントの要望を聞かせていただきました。テナントからの要望は③であり、賃料を半年ほど下げて欲しいとのご要望でした。

その要望をオーナーの所に伝えたところ、基本的には①の家賃を下げないことが希望との事でしたが、テナントの事も考えて時間をとってお返事をいただき、⑥の半年間賃料を減額するが、その減額分は保証金の敷き引きで清算する形で伝えて欲しいとの事でした。(この場合、オーナーにとっては、半年間の賃料は下がった状況ですが、最終的に清算する形になるので、テナントの要望には対応できていないとも言えます)

今回の物件は古い倉庫でしたので、テナントが退去されてしまうと、次のテナントを見つけることが難しく、建て替えるとなると大きな費用のかかる物件でしたので、基本的には借り続けていただきたいのだが、家賃は出来るだけ下げたくないとの希望です。テナントにとっても、別の物件に移転させることも考えられるが、移転させることの費用等を考えると、出来れば今の物件を借り続けたいという思いがあります。

再度、テナントの所に行き、オーナーの要望を伝えましたが、やはり新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げも下がっているので、出来るだけ固定費を下げたいということです。ずばり、テナントの本音としてどうして欲しいのかとお聞きすると、今借りている賃料が周辺相場に比較して相当高いので、これを実情に近い賃料に金額を下げて欲しいという事です。テナントは以前から家賃については少し高いという思いをずっと持っておられたようです。

実際に、現在の賃料が周辺相場よりも高いということは、テナントもある程度理解されておられましたので、最終的に、テナントの家賃を下げて欲しいという要望と、オーナーの長く借り続けて欲しいという要望について、賃料を引き下げることで双方の合意が取れましたので、今回は④の賃料を減額することになり、金額についてもお互い合意が出来、賃料改定の覚書を締結することに決まりました。(実際に、これまできちんと賃料を振り込んでいただいていましたし、売り上げが少し下がったのは事実ですが、安定してお仕事をされていますので、長く借り続けていきたいということでお互いに納得できるところに落ち着くことが出来ました)

契約締結から5年ほど経っていましたので、久しぶりにオーナーとテナントが、お互い顔を見ながら賃料改定の覚書を交わすことで、テナントの仕事の内容や今後の展開を直接聞いたり、古くなった倉庫の状況をオーナーが実際に確認することで、今後も借り続けていただけるというお互いの関係を実感いただけたかと思います。

最初から直接お互いに話をすると感情的になったりして、上手く話が進まないこともあるのですが、第三者が間に入ることによって、お互いの本音を聞いて、双方が納得して借り続けていただける結果を出すことが大切ですね。

今回は、倉庫のテナントオーナーの事例でしたので、新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが一時的にダウンしていますが、落ち着くと元に戻ることになると思いますが、飲食店等、新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、今後の見込みも難しいテナントも多くあります。

新型コロナウイルス感染症の影響が収束しても売り上げの回復、増加が見込めないテナント、これまでから賃料の遅延や滞納があったテナントなど、個別に事情が異なりますので、落ち着きどころをきちんと考えて、必要な場合には弁護士等の専門家に相談しながら、早いうちにアドバイスをすることが重要になります。

新型コロナウイルス感染症に係る支援策もありますので、支援策の活用も含めてアドバイスが必要かと思います。(国以外の制度もありますのでご確認ください)
テナント家賃の支払いを支援する制度
持続化給付金
融資(日本政策金融公庫・商工組合中央金庫、民間金融機関)
不動産所有者等がテナントの賃料支払を減免・猶予した場合の支援策
税・社会保険料の納付猶予
固定資産税・都市計画税の減免
免除による損害額の損金算入

ファイナンシャル・プランナーとして、相談や実務を行う中で、自分の引き出しを増やし、お客様にとって必要なネットワークを更に広げていきましょう。


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