地価LOOKレポートを活用しましょう。
相続・不動産担当のエフピーコンパスの平井です。
先日、FPユニバーシティーオンライン座談会として、「FPに必要な情報の取り方、活かし方」を開催いたしました。
メンバーの情報の収集方法は、基本的には、新聞や雑誌、SNSの投稿などで気になる事項があれば、項目をピックアップし、その中で実際に記事や、セミナーの資料等にするときや特に気になった情報については、各官公庁等のホームページ等を調べたり、ネットワークを活かして専門家の話を聞いて、そのデータや内容の裏付けを複数とって、自分なりにその情報を検討・整理を行って、記事や資料として活用されていることを知ることが出来、学びのあるオンラインセミナーでした。
不動産についての価格動向は、お客さまからも相談が多いと思います。特に新型コロナウイルス感染症で、価値観が変化してきている中で、お客さまから今後、不動産の価格が上昇するのか、下落するのか、相談された時に信頼できる公的なデータの一つとして国土交通省から発表されている地価LOOKレポートを活用してください。
不動産の価格は、一物四価と言われています。
一つの土地に四つの異なった公的な価格があることで
時価(実勢価格)
公示価格(公示価格)
基準地標準価格
相続税評価額(路線価)
固定資産税評価額
ということを、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得する時に学びましたが、これらの価格は、年に一度の公表ということで、不動産が上昇しているのか、横ばいなのか、下落しているのかを確認するスパンとしては長いと言えます。
4半期ごとの地価動向を得る方法が地価LOOKレポートです。
主要都市の高度利用地地価動向報告~地価LOOKレポート
【第50回】令和2年第1四半期(令和2年1月1日~令和2年4月1日)の動向
が、令和2年6月に、国土交通省 土地・建設産業局 地価調査課より発表されています。
調査目的:主要都市の地価動向を先行的に表しやすい高度利用地等の地区について、四半期毎に地価動向を把握することにより先行的な地価動向を明らかにする。
調査内容:不動産鑑定士が調査対象地区の不動産市場の動向に関する情報を収集するとともに、不動産鑑定評価に準じた方法によって地価動向を把握し、その結果を国土交通省において集約する。
調査時点:毎年1月1日、4月1日、7月1日、10月1日の計4回実施
三大都市圏、地方中心都市等において特に地価動向を把握する必要性の高い地区
東京圏43地区、大阪圏25地区、名古屋圏9地区、地方中心都市等23地区 計100地区
住宅系地区 - 高層住宅等により高度利用されている地区(32地区)
商業系地区 - 店舗、事務所等が高度に集積している地区(68地区)
例えば、大阪圏25地区としては、
商業区分:「西梅田」「茶屋町」「北浜」「心斎橋」「なんば」「阿倍野」
住宅区分:「福島」「天王寺」「豊中」などが代表地点となっています。
総合評価として:上昇(6%以上)、上昇(3%以上6%未満)、上昇(0%超3%未満)、横ばい(0%)、下落(0%超3%未満)、下落(3%以上6%未満)、下落(6%以上9%未満)、下落(9%以上12%未満)、下落(12%以上)の変動率を9区分で記載しています。
令和2年第1四半期の地価動向、大阪圏(25地区)では、平成30年度第1四半期から9期連続ですべての地区で上昇となったが、変動区分が下方へ移行した地区は11地区であった。
全国100地区の動向とともに、各地区には不動産鑑定士のコメントがあり、例えば「心斎橋」の地域については、こう書かれています。
当地区は大阪市を代表する商業エリアの一つであり、御堂筋沿いでは百貨店・ブランド店舗等、心斎橋筋商店街では物販・飲食店舗等が建ち並ぶ。繁華性の高いエリアについては店舗賃料が高水準で推移している。オフィスについては、需給が逼迫していることもあり、高稼働の傾向となっている。ホテルについては、外国人観光客の増加を見込み、多数開発が行われている。令和2年2月には御堂筋沿いで、瀟洒な外装のブランド店舗ビルが開業した。また投資物件の供給不足の影響もあり、優良物件に需要が集中する傾向は継続している。新型コロナウイルス感染症による一時的な経済活動の停滞等の影響から、過熱感が弱まってオフィス賃料及び取引価格の上昇傾向が鈍化し、当期の地価動向は上昇幅が縮小してやや上昇となった。
新型コロナウイルス感染症の影響で、物販・飲食店舗の撤退、賃料の減額要請等の懸念については、先行きが不透明であり、市場参加者は様子見の姿勢を続けている。外国人観光客の動向は不透明であり、市況の変化が今後の地価動向にどのような影響を及ぼすかについては注視が必要である。(主要都市の高度利用地地価動向報告:心斎橋)
全体的な概況として、第1四半期ということで、いまのところ全国的には緩やかな上昇となっていましたが、これまでの傾向に変化が見られた調査結果となっています。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、多くの地区で需要者の様子見などの取引の停滞が見られ、地価の上昇傾向が鈍化した。地価動向の変化が大きかった地区では、特にホテル、店舗需要の比重が高く、感染症の影響が大きい。
全国の100地区ということで、主要都市の先行的な地価動向になりますが、特に今回の新型コロナウイルス感染症の影響が今後の地価動向に与える影響が多いと思いますので、第2四半期以降の調査結果を把握しておくことは大切かと思います。
実際に、6月の始めに心斎橋の通りを久しぶりに歩きましたが、これまでのような外国の方々の賑わいがなく、心斎橋筋に面したドラッグストアの一部は、休業の張り紙があったりと、以前の心斎橋の賑わいと大きく異なっていることを実感しています。
ファイナンシャル・プランナーとして、気になったことについては、公的なデータと、自分で感じた感覚、専門家との情報交換等で得た知識を総合的に判断して、自分なりのモノサシを持っておくことが大切かと思います。
ファイナンシャル・プランナーとして、相談や実務を行う中で、自分の引き出しを増やし、お客様にとって必要なネットワークを更に広げていきましょう。