ノウハウも盗用してはダメ!
FPユニバーシテイ 執筆講座担当の ひまわり法務FP事務所®代表の竹原庸起子です。
私が担当しているブログ記事では、毎回、FPなどの専門家が執筆の業務を受ける上で知っておきたいことを項目ごとに書いております。
今回は、先日とある専門家Mさんから、FPユニバのブログでノウハウの価値についても触れてほしいといわれましたので、今回のテーマにしますね。
その方はとある士業の女性です。先日当方にこのように悩み相談に来られました。
「わたしは長年、相続や終活をテーマにセミナーを開催したり、案件を受けた場合のひながたをゼロから作ってきました。もう10年間この仕事をしてきましたが、とある仲のいい同業者らに気軽に貸すことが多かったのです。『ひながた貸して』と言われたら、何の疑問ももたず貸してきました。
しかし、先日、実はそのうちのとある同業者Aが、そのひながたをアレンジしてほかの人に有償で渡していたことがわかったんです。広告方法のノウハウもいろいろと教えてあげたんですけど、それも有償でプロにコンサルしているそうです。これってひどいですよね?いまからAに文句言って止めさせたいんです。どうしたらいいですか」とのこと。
これは、明らかにノウハウの盗用です。厚意で無償で提供してもらった書類のひな形やノウハウを、A自身でアレンジして有償で第三者へ提供しているのです。A対しては何らかの民事上の請求はできそうですよね。その場合は弁護士などの専門家に依頼すれば可能でしょうね。
しかし、私はMさんへは法律の専門家としてではなく、プロとして3つの厳しい意見を伝えました。
まず1つ目は、「気軽に貸す方も悪いのだ」ということ。自身がゼロから作ったノウハウを無償で気軽に貸すことは、「好きにしていいよ」と言っているようなものなのです。プロならばそれを理解して貸さないとだめだということです。自身のノウハウに愛情があれば、そんなことはしませんよね。
2つ目は、法律の専門家に相談して、民事上の請求などはできるかもしれないけれども、最終的にはお金で解決するだけ。MさんがAから金銭をもらっても、すでに流れてしまったノウハウは、これからも永久的に形を変えて流通するでしょう。それまでも止められないんですよ。苦労して作ったノウハウをお金で解決なんて虚しい現実ですよ。それを覚悟しておいてね。
そして最後に、MさんとAとの人間関係は完全に悪化しますよ。同業者の間でこういうもめごとがあると、それは噂として流布されます。真実が伝わるわけではなく、もしかすると盗用されたMさんが悪者として噂されるかもしれない。それでもいいの?
以上の意見を伝えましたところ、Mさんは
「こういう目に逢ってしまったことによる損害は勉強料だと思ってあきらめるわ。でも今後はこういうことにならないように気を付けるわ」とのことでした。
ノウハウは盗られた方はこのような苦しみを味わい、損害を受けます。その一方でノウハウを盗った方は「盗ったノウハウで儲けられてお得」・・・・?なのでしょうか。
決してそうではありません。
苦労して成し遂げた仕事でない場合はその人を成長させません。
悪銭身につかずですね。