令和2年分の路線価が発表されました。
相続・不動産担当のエフピーコンパスの平井です。
前回、不動産の価格の指標の一つとして参考になる、「地価LOOKレポート」についてお話をさせていただきました。地価LOOKレポートは、三大都市圏、地方中心都市において特に地価動向を把握する必要性の高い地区について4半期ごとに発表されますので、先行的な地価の動向についてみる指標として活用してください。
7月1日に、令和2年分財産評価基準が発表されました。
令和2年1月1日から12月31日までの間に相続、遺贈又は贈与により取得した財産に係る相続税及び贈与税の財産を評価する場合に適用します。
今年亡くなった方の相続税の申告の際には、この路線価を利用することになります。ただし、1月1日時点の評価になりますので、前回お話させていただいた新型コロナウイルス感染症の影響は、考慮していないことになります。
都道府県庁所在地の最高路線価のランキングは(1平方メートル当たり、単位千円)
1位 東京 中央区銀座5丁目銀座中央通り 45,920 0.7%
2位 大阪 北区角田町御堂筋 21,600 35.0%
3位 横浜 西区南幸1丁目横浜駅西口 15,600 34.5%
4位 名古屋 中村区名駅1丁目名駅通り 12,480 13.0%
5位 福岡 中央区天神2丁目渡辺通り 8,800 11.8%
都道府県庁所在地の最高路線価の上昇率トップは
14位 那覇 久茂地3丁目国際通り 1,450 40.8%
で、40.8%の上昇率でした。
ちなみに、以前のブログにあげた北海道倶知安町の土地の路線価を確認してみました。
倶知安-3の土地の地価公示は、昨年が75,000円、令和2年が108,000円と1.44倍
令和元年と令和2年の路線価を比較すると
480E⇒720E、300E⇒450E、250F⇒370Fと、地価公示の価格と同様に、昨年に比較して路線価は、1.5倍になっていますね。
別のブログで書いた帰還困難区域の評価についても、国税庁のHPに載っていました。
令和2年1月1日現在において、原子力発電所の事故に関する「帰還困難区域」及び「避難指示解除準備区域」に設定されていた区域内にある土地等については、路線価等を定めることが困難であるため、令和元年分と同様に、相続税等の申告にあたり、その価額を「0」にとして差し支えないとしています。
国税庁のHPで福島県の評価倍率表を確認したところ、大熊町、双葉町、浪江町、富岡町、飯館村、葛尾村等の帰還困難区域や避難解除準備区域の倍率表は「0」になっていました。
ニセコの場合は、ブログでもお話ししたように、上昇率の原因は、海外の富裕層がニセコの雪質や羊蹄山の景色を楽しむために、リゾート需要として、長期滞在するための別荘やヴィラを保有したり、ホテル棟を建設しているために地価が上昇したといえます。
今回の新型コロナウイルス感染症の影響で、インバウンド需要が低下し、日本へ来ることが出来ないことや長期の滞在を控えるような状況になれば、地価への影響は免れないかもしれません。しかし、長期的な視点で考えると、ニセコのような自然環境に優れた土地であれば、海外の投資家から見れば格安と考えて、直ぐに影響は出ないとの考え方もあります。
ただニセコのように、優れた自然環境がある土地でない場合には、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化すれば、インバウンドの需要がなくなり、ホテルやインバウンドを対象とした飲食店やお店も厳しくなり、都市部であっても地方であっても、賃料の低下や土地の需要は低下し、地価が下がる可能性が高いと考えられます。
日本の企業でも、テレワークを活用することで、オフィスを都市部に置く企業が少なくなったりすることで、空室率が上昇し、地価が下がるかもしれません。
一方、新型コロナウイルス感染症の影響で、働き方も変わることで、会社に近いところで暮らすよりも、郊外で環境の良いところの戸建て住宅を購入して、テレワークを中心に活動していくことになると、郊外の土地の価格が思ったよりも下がらないかも知れません。
全ての土地が同じように上昇したり、下落したりするのではなく、都市部と地方で異なったり、ある一定の地区は全体と異なった動きをすることもあるので、公的なデーターを見るときには、全体の数字を把握すると同時に、いくつかのポイントを押さえて、土地の動向を考えていく事が大切です。
最初にお話したとおり、路線価は1月1日時点の評価で、今年度に亡くなられたかたは、この路線価をつかって財産の評価を行い、相続税の申告を行う事になります。
新型コロナウイルス感染症の影響については、国税庁は、今後の地価動向によっては、路線価の減額修正を可能にする措置を導入する方針が検討されています。
9月頃に発表される基準地価(7月1日時点の価格)が、広範囲で大幅に下落した場合は、国税庁は一定の係数を路線価に乗じて減額する案を検討しているとのことです。
ちなみに、国税庁の令和2年分(最新)の路線価図、評価倍率表の【お知らせ】のところには、
・令和元年台風第19号に係る調整率表を公開しました。
・平成30年7月豪雨に係る調整率表を公開しました。
・平成28年熊本自身に係る調整率表を公開しました。
との記載があります。
詳しいところは、実際に国税庁のHPで確認いただければ良いのですが、影響を受けた特定地域(都道府県と市町村名)が定められています。
令和元年の台風19号の場合、例えば、特定地域内になる土地等(特定土地等)の価額は。その取得の時期によらず「令和元年台風第19号発生直後に価額」によることができ、「調整率」を乗じて計算することになります。
令和元年台風第19号調整率表の場合、適用地域によって、調整率が0.6から0.95の範囲で決まっています。
新型コロナウイルス感染症の影響による地価の下落が、公示価格と基準地価の下落幅や地価LOOKレポートにより、国税庁が補正率を導入するかどうか検討している話がありますので、新聞等のニュースがあれば、FPとして知っておいてください。
新型コロナウイルス感染症の影響が、路線価や地価にどう影響してくるのかについては、みなさんアンテナを張りながら、情報収集しておくことが大切だと言えます。
ファイナンシャル・プランナーとして、相談や実務を行う中で、自分の引き出しを増やし、お客様にとって必要なネットワークを更に広げていきましょう。