相続税申告後の相続対策

相続・不動産担当のエフピーコンパスの平井です。

相続・不動産のブログの中で、ファイナンシャル・プランナーとして相続に携わっていく中で、時間軸を考えて、対応することが大切なことを整理させていただきました。

もう一度、整理をすると、大きく分けると、以下の4つの時期に分類することができます。
① 相続まで時間がある。
② 相続発生まで数年(高齢である、病気等が見つかった)
③ 相続発生してからの手続き・対策
④ 相続税申告後

スライド時間軸

今回は、④の相続発生してからの相続対策についてのお話しです。
相続税の申告期限は、相続発生を知った時から10ヶ月ですので、この期間に相続人および相続財産の確定、遺産分割、相続税の申告・納税を行わなければなりません。「相続税の申告が終わり、納税を行った」「金融機関の名義変更、不動産の相続登記」が終わったということで、ひと段落なのですが、申告後も節税出来るポイントがいくつかあります。

相続税の申告内容が必ずしも正しいとは限りません。
相続税の申告額が過大である場合もありますので、更生の請求手続きが必要か検討しましょう。(平成23年12月2日以降に法定申告期限が到来する申告については、法定申告期限から5年以内とされています。)
特に不動産の評価は、資産税に強い先生と、資産税の経験が少ない方との差は大きく出ます。多額の相続税を支払った、相続財産の中で不動産の占める割合が高い場合、相続税の更生の請求により、過大に支払った税金を取り戻す手続きが出来る場合があります。

税務調査への対応も大切です。
申告書に不備がある場合、相続額が大きい場合相続財産に預貯金や現金が多い場合等、税務調査の対象になる可能性が高いと言えます。基本的には、相続税の申告に強い先生に依頼する事が大切です。私が相続トータルサポート関西のメンバーとして一緒に相続の申告をお願いしている税理士の方は、資産税専門の税理士ですので、年間に100件以上の申告をされており、安心してお客様に紹介させていただき、一緒に相続対策を行っています。税務調査の経験の違いも、お客様の安心につながるかと思います。

相続税の取得費加算の活用による譲渡所得税の軽減を検討しましょう。
相続又は遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができます。
特例を受けるための条件は、①相続や遺贈により財産を取得した者であること。②その財産を取得した人は相続税が課税されていること。③その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以降3年を経過するまでに譲渡していること。
ただし、平成26年度税制改正により、「相続したすべての土地等に対応する相続税額」から「相続した土地等の相続税評価額」に改正されましたので、不動産の譲渡について、以前のような節税効果はなくなりましたが、多額の相続税を支払った相続人が、不動産の有効活用の一つとして不動産等を処分するのであれば、相続から3年10カ月以内に、譲渡する事も検討する事も考えておかねばなりません。

被相続人の居住用財産(空き家)を売った時の特例の活用を検討しましょう。
相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できる制度です。
以前のブログにも載せましたが、昭和56年5月31日以前に建築されていたことなどの要件はありますが、建物をそのまま売却すると特例を活用できないなどの条件もありますので、事前に要件にあうのかを確認の上、アドバイスを行う事が必要です。

ファイナンシャル・プランナーとして、相続のお手伝いをする場合、相続税等の税金が関係するお話が多いですので、信頼できる税理士さんとのネットワークが重要になります。ただし、相続の相談は、必ずしも税理士の先生だけで解決する問題はほとんどありません。お客様を一番よく知っているのは、お客様の横に座っているファイナンシャル・プランナーですので、この時間軸をしっかり理解して、お客様にとって有効な対策をアドバイスする事が重要になります。

今回は、相続税の対策を中心にお話をさせていただきましたが、相続税の申告書に記載される目に見える財産だけでなく、ご両親や祖父母からいただいた目に見えない財産、「愛情」「知恵」「考え方」「生き方」等を引き継いていく事が大切なことについても、お客様に伝えていただきたいと思っています。私も何度も経験していますが、親子やご兄弟で話し合いが出来ない、お互いのお話を中立的な立場で整理を行い、価値観の違いを理解いただいて、円満な相続を実現するのが、我々の役割だと思っています。
新型コロナウイルス感染症の影響で、帰省できない、病院に行ってもお見舞いも出来ない、お葬式も家族や親戚が揃うことができないなど、親子やきょうだいが直接お会いしてお話する機会が少なくなってきています。相続において正しい知識と中立的な立場で、家族をまとめていくファイナンシャル・プランナーの立場はますます重要になると私は思っています。

あと、相続税の申告が終わったという事は、次の相続に向けての対策が始まったとも言えます。将来、誰に何を遺していくのか(特に不動産は重要)、その為の問題やポイントを明確にすることが大切です。最初の「① 相続まで時間がある。」に戻って、生前贈与や生命保険の活用、不動産の活用などを、始めることが大切です。

繰り返しになりますが、相続対策として大切なことは、この相続までの時間軸についてきちんと理解し、お客様がお元気な時に対策を始める事です。
時間軸について理解した上で、相続人の間できちんと話し合い、円満な相続を実現するために、ファイナンシャル・プランナーの役割は何かについて考えていただければと思います。相続において時間軸を頭においてコンサルティングを行うことができるファイナンシャル・プランナーの役割は非常に大きいと私は思っています。

ファイナンシャル・プランナーとして、相談や実務を行う中で、自分の引き出しを増やし、お客様にとって必要なネットワークを更に広げていきましょう。

 

 


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